項目名 高感度PSA
prostate-specific antigen
名称  PSA精密測定  
検査方法 CLEIA
基準値  
ng/ml
4.00 以下
臨床的意義 前立腺癌で著明に増加。前立腺肥大でも上昇するが、10.0ng/mlを越える場合には前立腺癌を強く疑う。
   前立腺特異抗原(PSA)は、Wangら(1979)によって良性肥大症の前立腺組織から分離・精製された分子量33,000〜34,000、等電点6.9の糖蛋白です。

 ヒト前立腺組織のみに存在し、特に腺・導管の内腔上皮、前立腺分泌物に局在することが免疫組織化学的に確かめられています。

 血中PSA値は前立腺癌患者で著明に増加し、また病勢をよく反映して変動することから、その診断、予後判定および経過観察の指標とされています。

 なお、PSAについては多種類にわたる免疫学的定量法が確立され、検査キットとして市販されていますが、使用するキットによって測定値が異なるという問題点が存在します。これは、PSAの血中存在様式とそれらに対する抗体の特異性の違いに基づくものであり、血中PSAには“遊離型”とα1-アンチキモトリプシンやα2-マクログロブリンに結合した“蛋白結合型”とが存在し、特に後者に対する抗体の反応性が測定値の差に反映するということです。したがって、異なる測定系を用いる場合は抗体の特異性をよく確認する必要があります。

 手術後のモニタリング等では再発を早期に発見することが重要になるため、検出感度においてさらに低濃度のPSAを検出することが必要になります。「高感度PSA」は検出感度が0.003ng/mlであり、低濃度のPSAを検出するのに優れているため、手術や化学療法、物理療法などの治療後の微量のPSAの患部からの逸脱を測定することができます。また、前立腺癌患者のCut-off値として10ng/mlという値が設けられているため、良性疾患の鑑別から前立腺癌の早期発見、治療後のモニタリングや再発の推測に有用であり、広い範囲での適用が可能です。

 さらに、PSAの検査結果を評価するに当たっては基準値とCut-off値の使い分けにも留意すべきです。基準値の“4.00ng/ml以下”は健常者群の95%信頼区間の上限値を意味しています。高齢男子で血中PSAを測定すると前立腺肥大症によっても高率に陽性となるため、基準値を超えても直ちに癌と即断すべきではありません。前立腺肥大症と前立腺癌とを測定値として比較した場合、後者でより高値となる傾向が認められ、米国ではTandem-R PSAキットによる測定値において4.1〜10.0ng/mlを「軽度癌疑い」、10.0ng/ml以上を「高度癌疑い」とする臨床判定基準が提唱されています。ここに挙げたCLEIA法は「Tandem-R PSA」に近似した値を示すよう測定系を設定しており、本基準を採用することも可能です。

 直腸内指診(DRE)直後には一過性にPSA高値を示す場合があるため、検体採取は避けた方がよい。
高値を示す病態 前立腺癌、前立腺肥大症、急性前立腺炎
低値を示す病態 低値側の臨床的意義は少ないが、前立腺癌で摘出術後に再上昇がみられた場合は再発を疑う
備  考 測定レンジ:0.003〜∞(ng/ml)
前立腺癌診断のcut-off値としては“10.0ng/ml”が推奨されます。
BCL資料より


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