研究班は2004年夏から約9年間かけ、
再発したがんに対する標準的な治療法の開発に取り組む。
調査には大学病院や、がん専門病院など全国36施設が参加。
早期がんと診断され、1998年1月から2002年6月にかけて
前立腺の摘出手術を受けた1,360人 (47〜83歳)の経過を追った。
このがんのマーカー(指標)とされるPSA(前立腺特異抗原)が一定の値を超え、
がん細胞の増殖を示す「生化学的再発」と診断された人が18.7%(254人)いた。
再発までの期間は、1年以内の例が多く、4年以上たった例もあった。
手術でがんを含む前立腺を取っても、
周囲の組織に目に見えない微小ながんが残るなどして再発するとみられる。
PSA値が上昇しても、画像診断などでがんの再発や転移が確認されるまでは8年ほどかかるという。
前立腺がんの多くは進行が遅く、再発してもすぐに命にかかわることはない。
一方で、手術後の継続した検査の重要性が浮き彫りになった。
手術後に再発があった場合は主に、
ホルモン療法をする例と、
まず放射線治療をしてからホルモン療法を試みる例とに分かれる。
研究班は今後、どんなタイプの人にどんな治療法をするのが適しているのか調べる。
前立腺がんは高齢化などに伴って急増し、
一昨年は約8,000人が死亡した。
内藤教授は「患者の年齢が高い場合などは手術をしないこともある。
個人ごとの再発のリスクを事前に調べられるようにし、
患者が治療法を選ぶ材料として役立てたい」と話している。
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