前立腺癌の治療方法
治療方法を決めるに当たっては、癌が局所内だけなのか、転移を起こしているかを十分検査しておかなければなりませんが、
CT(断層写真)やMRI,骨シンチグラフィーなどで検査を行いますが、ある程度の大きさの癌でなければ検出できません。
したがって、場合によっては微小転移の存在もありうることも考えておかなければならないでしょう。

諸々の条件から医師が判断されて、微小転移が疑われる場合などは、全身治療を薦められるでしょう。
局所だけであると判断された場合は、局所治療が優先されるでしょう。
これらの選択については、医師も患者と十分相談されると思います。

前立腺癌の場合、局所の治療とは手術や放射線で、全身の治療とは内分泌腺治療や抗がん剤治療となります。

治療方法の選択は、治療の効果だけでなく、その後の生活がどのように変化するかといったことに大きく影響してきますから、それらは患者の年齢や
その他多くの条件で変わってくると考えられます。

たとえば、75歳以上の方を手術の適応外にされている病院は多いように聞いていますが、前立腺癌は悪性度にもよりますが、比較的緩やかに進行する
ことが多いため内分泌治療だけで、ある程度癌を抑えることができ、平均寿命くらいまで抑制できる可能性があるため、生活の変化を考えると
手術を見合わせたらということになりますから、よく医師と相談されることが重要だと思います。

治療方法の選択は病期と悪性度(分化度やグリソン・スコア)、年齢、日常生活などを総合的に検討して行われなければなりません。
一概に、この場合はこうだとはいえませんが、一般的な見方について紹介しておきますので参考にされてください。
この見方は、現在における一般的な見方ですが、医学の進歩、新技術の開発などにより変化するものだとは思いますので、その時点でよく比較検討を
していただきたいと思います。
前立腺癌の病期(ステージ)別の治療法
 病期 A1(T1a) 病期 A2(T1b,T1c)
または病期B(T2)
病期 C(T3) 病期 D(N1または M1)
 
  無治療経過観察   前立腺全摘術   前立腺全摘術 + 術後内分泌療法   内分泌療法
    放射線治療   術前内分泌療法 + 前立腺全摘術  
    内分泌療法   放射線治療 + 内分泌療法  
    無治療経過観察   内分泌療法  
   
 
前立腺全摘術
転移(癌細胞が血液などを介して、骨やリンパ節などに移り、そこで増殖を
はじめること)や浸潤(原発巣(前立腺)を越えて周辺の組織にまで
およぶこと)のない早期の癌の場合有効な方法です。
持病や年齢、体力なども含めて採用の可否を考えます。

手術時間は病院によって違うようですが、最近は2時間前後で実施され
ているようです。

下腹部を切開する経腹的アプローチ(恥骨後式摘徐術)と
会陰部(股の間)アプローチ(開陰式摘所術)とがあります。

恥骨後式摘除術の場合、骨盤内リンパ節郭清(リンパ節をひとかたまりと
して摘除する)をした後に、前立腺、精嚢腺をひとかたまりとして
摘除します。

前立腺のすぐ横には神経血管束が通っていますので、これを残すと勃起能が
温存できますが、残した場合、癌を残す恐れもありますから、明らかに
その恐れがない限り神経温存はできません。

排尿をコントロールして、尿が尿道に流れないようにしている尿道括約筋に
ついては、傷をつけたりすると術後に尿漏れをおこすことになりますから
損傷しないように手術が行われます。

その後、膀胱と前立腺をつなぎます。

手術の合併症では、
出血があります。特に出血する部位は尿道腹側にある静脈(サニトリーニ
静脈叢)の処理が重要になります。

手術中の出血に対応するためには、自己血液を800 ml程度貯血して
これを使いますが、出血量が多い場合は、日赤から血液を取り寄せて
使用することもあります。

肺炎や手術を行った局所の細菌による感染の可能性があるため抗生剤を
使用します。

尿を停止するために尿道括約筋の収縮と合わせて前立腺を収縮することに
よって行っていましたから、尿道括約筋を損傷しなくても尿道括約筋と
尿道との接触面積の減少、前立腺摘除によって、漏れやすくなっています。
尿道括約筋を強くするための訓練が必要なこともあります。
まれには、尿道狭窄(尿道と膀胱の吻合部が狭くなっていること)も起こる
ことがありますが、内部から広げるとか手術をするなどで対応することに
なります。

その他、全身麻酔に伴う一般的な合併症も考えられます。
腹腔鏡手術 近年採用されだした方法で、開腹手術に比べて手術時間は長くなりますが、出血は少なく、入院期間も短くなります。
現在は、一部の施設で行われています。
腹腔鏡によって前立腺、精嚢腺全てを摘除する方法です。
放射線療法 ただいま作成中です。
内分泌療法
(ホルモン療法)
前立腺癌の癌細胞は男性ホルモンによって増殖するということです。
男性ホルモンの影響をなくすことができれば癌の増殖を抑えることが
できるはずです。

LH-RHというホルモンは、脳の視床下部で分泌され、脳の下垂体でLHという
ホルモンを放出します。このホルモンがあると前立腺は大きくなり、減少させる
と前立腺の細胞が消えて行くそうです。
したがって、男性ホルモンの95%を作っているといわれる精巣を摘除する
ことによって(徐睾術)、前立腺癌の細胞を消失させるか、
この場合も男性ホルモンの5%は副腎で作られていましたから
これを抑えるために抗男性ホルモンを供用することもあります。
男性ホルモンを減らしたり、消失させたりすることができる薬を前立腺癌の
治療薬として使います。
LH-RHアナログ 視床下部で分泌され下垂体に作用してLHを放出し、
精巣などで男性ホルモンをつくるLH-RHの類似化合物
(これをLH-RHアナログという)を与えることによって、
下垂体は本物のLH-RHかと感じるようで受け入れて、
LHを放出するそうです。
その結果男性ホルモンは増えますが、これは最初の
一時的なことで、類似化合物では本来のホルモンのようには
働かずに、男性ホルモンは減少するということです。

効果が1ヶ月持続するものと3ヶ月持続するものがあり、
リュープリンゾラデックスという商品名のものなどがあります。

副作用の可能性:
性欲の低下、勃起障害、女性化乳房、ほてり、朝の手のこわばりなど
抗男性ホルモン薬
(抗アンドロゲン剤)
左図を見ていただくと前立腺に作用する男性ホルモン(アンドロゲン)
の働きを阻止させる薬剤です。

非ステロイド性のもの:カソデックスオダインなど
ステロイド性のもの:プロスタールなど
の内服薬があります。

副作用の可能性:
女性化乳房、ほてり、性欲の低下、勃起障害、肝臓機能障害など

単独で使われることもありますし、LH-RHアナログと併用して
使われることもあります。
女性ホルモン薬 女性ホルモン薬は直接前立腺に作用することによって、
活性型のテストステロンになるのを抑制して前立腺癌を
抑えます。商品名をホンバンといい、内服や注射によって
男性ホルモンを低下させ睾丸を摘出するのと同じくらいまで抑える
ことが出来るといわれています。

副作用の可能性:
女性化乳房、浮腫、肝臓機能障害、
また心不全や虚血性心疾患、肺梗塞、心筋梗塞がある人に
使用する場合は、それらの症状が悪化することもあるそうです。
    
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